いいチーム作りのために、ロフトワークが「やらない」と決めたこと(ディレクションセミナーレポート)

はい。どもかなりしばらくぶりです。ナカムラです。

今回はずいぶん間があいてしまいましたが、7月にロフトワークさんとコラボで開催させていただいたイベントのレポート。

以前に書いた「プロジェクト巻き込み力を最大化するディレクション 超具体的アクションプラン」公開時に僕からロフトワーク側に打診していた『ロフトワーク流チームビルドを1日で体験できるようにしちゃおう』という強引なアレです。

僕自身セミナー・イベントでここまで興奮したのは初めてってくらい素晴らしい内容でしたので、以下ロフトワークさんのイベントレポートを転載する形で紹介させていただきます。

元記事:http://www.loftwork.jp

good businessはgood teamから。いいチーム作りのために「やらない」5つのこととは?

オープニングトークに立ったのは、2015年4月、CSS Nite LP40で「"体制づくり"からクライアントを巻き込むディレクション術」を伝授したロフトワークの重松佑さん。

はじめに重松さんは、「good team(いいチーム)ってなんだろう?どうすればいいチームが作れるのだろう?」と問題を提起。

重松さんは、あまり常識にとらわれず、次のような方法を実践しているといいます。

打ち合わせをしない

ワークショップをベースにやりとりを進める。

議事録を書かない

議事録を書く代わりにムービーで記録を残して共有する(リアルタイムドキュメンテーション)

キックオフをしない

何を作るかより誰と作るかを大事にし、一緒に作るメンバーの考え方、価値観を理解することから始める。

成果物を決めない

考えてから作るのではなく、作ってから考える。

想像しない

想像するのではなく、実際に聞いてみる。

いいチームを作ることがプロジェクト全体をドライブしていくことになり、結果的にいいデザインが生まれる。

いいデザインがお客様に届いたときに、いい価値が生まれ、ビジネスとしてもいいカタチになる。

だから、good businessを考えるときは、まずgood teamを考える。何を作るかより、誰と作るか。もっと言えば、誰とどのように作るかをきちんと設計すること。

このプロセスをワークショップで体感いただきたい。

...と語ってくれた重松さん。

さっそくセミナー・イベントスタートです。

音を通して忘れられない体験を作りたい-オーディオテクニカの想い-

ワークショップはアイスブレイクでスタート。同じテーブルに座るメンバーが今日のチームメイトです。

第一ステップは、お互いを知り、理解を深めること。名前、仕事、趣味に加え、各自が描いた「はじめまして!の瞬間をイメージした絵」を紹介し合うことから始め、緊張がほぐれたところで、チーム名を決めるという初めての共同作業を実施。

さっそく「クマとネコと一緒に外でコーヒー」「Tiger」「スパークリング」「Teamダンジョン」「日本横断」といった個性的なチーム名が出揃いました。

今回、ワークショップのテーマは「日本の美学を世界に伝えるWebブランディング」を考えること。

これからのディレクターにはグローバル化の視点が求められるのでは、という背景からこのテーマが選ばれました。

そして参加者が具体的なイメージをもって本テーマに取組めるよう、グローバルに事業展開をしている日本の音響機器メーカー、株式会社オーディオテクニカの海外ブランディングチームを先導役としてゲストに招聘。

ワークショップ前に、彼らが日本のプロダクトの魅力を世界に伝えるために大事にしていることを、同社グローバルブランディングチーム クリエイティブディレクターの松本総一郎氏が語ってくださいました。

音楽だけではなく、音の専門家として音の可能性にフォーカスしてきたオーディオテクニカは、創業初期段階から海外進出に成功し、売上も伸ばしつつあります。

現在はさらなる事業拡大を目指したブランディング施策に取り組んでいて「世界市場でビジネスをしていくにあたり、ローカルのことはローカルに任せるのではなく、本社がリーダーシップを取り、一つのオーディオテクニカグループとして一貫したメッセージを発信し、ブランドコミュニケーションしていきたい」と松本氏。

その際大事にしたいのは「我々が日本人であること」だとして、日本の美意識を世界にうまく伝えるにはどうしたらよいのか施行錯誤していると言います。

たとえば、「KOMOREBI(木漏れ日)」という言葉は、他の言語で説明しようとすると、かなり長い文章になります。

松本氏は、「わざわざ一つの言葉にしたのは、自然の中に美を見出す感性が豊かだったから。木漏れ日が美しいのは、その中を歩きながら聞こえる鳥の声、葉っぱのこすれ合う音などによる相乗効果」と強調。

日本人として、こうしたことを効果的にコミュニケーションしていくと共に、「音に興味のない人にも音のすばらしさを伝えるために、音を通して忘れられないような体験を提供したい。

音は目に見えないので説明しづらいが、音以外の要素を組み合わせて木漏れ日のような美しい体験を作っていけたら」と語りました。


ここで、オーディオテクニカの海外ブランディングチームから、サンドラ(スペイン)、ジェフ(アメリカ)、ロバート(イギリス)が参加。それぞれが持参した「美しいもの」も発表されました。

チームでコンセプトマップとストーリーボードを作る

ワークショップは、「コンセプトマップの作成」と「ストーリーボードの作成」の2つのワークで構成。

  • 正解も不正解もないので恐れずに個人の考えを述べる
  • 自由にアイデアを出す
  • アイデアの質より量を重視する
  • 他人の意見にしっかり耳を傾ける

と、上記4つをルールに進められました。

ちなみにワークの内容は次のとおり。

ワーク1:ディスカッションからのグルーピングと因果分類

チーム内で各自が持ち寄った美しいものを紹介し合い、美についてディスカッション。そこで出たキーワードを付箋に書き出してグルーピングし、原因(ユーザの体験を引き起こすに至った原因)と結果(ユーザの体験)に分類。

ワーク2:アイデアの結合とストーリーボードの作成

個人で作成したストーリーボードをチーム内で共有し、その中から面白いと思ったアイデアを結合させ、チームで1つのストーリーボードを作成。

また、ワークショップ中は、チームづくりのヒント「議事録を書かない!」を実践すべく、リアルタイムドキュメンテーションを実施。

イベントのサポートスタッフらが各チームのワーク中の様子を動画で撮影し、ワークショップ後に、その場で短く編集したものをチーム内で共有しました。

議論が変化していくプロセスを可視化できるこの手法。参加者は、議事録にはないメリットを十分に体感できたようです。

大切なのはお互いの考え方や価値観を理解しながら進むこと

すべてのワークを終え、最後は、チームで作成したストーリーボードをオーディオテクニカ向けに発表。

海外ブランディングチームが参加しているとあって、各チームとも英語で熱いプレゼンテーションが繰り広げられました。

また、練りに練られたアイデアの中から、実現時のインパクトの大きさを評価されたチーム「クマとネコと一緒に外でコーヒー」が「日本ディレクション協会賞」を受賞。

旅行に行きたいユーザとオーディオテクニカの製品をマッチングさせ、潜在顧客のエンゲージメントに挑戦したチーム「Teamダンジョン」が「オーディオテクニカ賞」を受賞。

受賞チームには賞品も贈られました。

最後に、日本ディレクション協会 会長として僕もちょっとコメントしたり。

オーディオテクニカチームからも「日本のみなさんがどのようなことに価値を感じているのか、そこに至るプロセスも含めて考えることができ、多くの学びがあった。」と、コメントされていました。

長丁場だった一日を振り返り、「朝の時点では他人だったみなさんが、お互いの考え方や価値観を理解できるところまで来た。クライアントやパートナーの価値観を理解しながらプロジェクトを進めることの大切さを体感いただけたと思う」と語る重松さん。

「プロジェクトのキックオフ時もしくはキックオフ後、ワイヤーフレームを作る前にコンセプトマップとストーリーボードを作成し、コンセプトやユーザ体験を考えるところから始めてみてほしい」と総括してくれました。


いや、本当に楽しかったです。もう一回これやるとなると手間とコストががががが...となりますが、なんとか頑張ってもう一回といわず何度でもやってみたいなぁと思う良いセミナー・イベントになったんじゃないかな?と。

ずいぶん遅くなりましたが、お越しいただいた皆様とロフトワークの皆様、そしてオーディオテクニカチームの皆様に心から感謝を。

また会いましょうー!

※一応用語解説

コンセプトマップ 最終的にエンドユーザー提供すべき価値や体験をについてキーワードを出していき、その関係性を図式化したもの。

ストーリーボード コンセプトマップをもとに、どのようにその体験を実現させるのかを、「はじめて知る」→「利用する」→「継続して利用する」→「友人に紹介する」の流れに沿って具体化したもの。