目的を達成しないなら、制作のクオリティなんて無意味だと思う

ども中村です。またしてもちょっと激しめなタイトルですが、ちょっと「?」と思うことがあったので書いてみようかなと。

僕らディレクターは、よく「制作の現場における監督」みたいな立ち位置でその役割を語られることがあります。チームを作り、品質を担保し、スケジュールを管理する。だから監督。

まぁ、分からなくは無いんです。確かにその通りだと思いますし、その役割に一定の価値があることも理解しています。

でも最近、この『品質を担保する』って部分に関してどうも気持ち悪い感じがしてるんですよね。僕らが担保するべき『品質』って一体何のことなんでしょう?っていうね。

そのクオリティは、本当に今追求するべき項目なんだろうか?

キレイなコード、美しいインタラクション、写真の構図や表情、しっかりと校正された原稿に、洗練されたデザイン。

みんな欲しがりますよね。

そりゃ、高い金払って制作をプロに頼むんだから、誰だって「払った金額で出来る最高のモノが欲しい」になるのは当たり前です。

が、それって本当に必要な、担保するべき『品質』なんでしょうか?

例えばリニューアル、例えば新サイトや新サービス立ち上げ、もしくは運用フェーズで発生した新規画面やLPの新設、改修、機能追加などなど...。

その画面を、機能を、コピーを、本当にユーザーが必要として利用してくれるか。作ったコピーに反応するか、期待通りにアクションをしてくれるか。

これら全てはただの「仮説」にすぎず、立案 ⇒ 設計 ⇒ 制作の段階では「○○じゃないかなー?」って状態にすぎないってことを、多くの場合見失ってしまってません?なんて思うんですよ。

前述の通り、金払ってる側からすればそりゃ、「最初っから最高の状態を作れれば投下コスト抑えられるじゃん。だから最初っから最高のもの欲しいじゃん」になるのは当たり前です。

でも、それをディレクターが「ですね!やりましょう!」しか言えずにハイハイ貰って帰ってしまっていては、プロジェクト全体がガッタガタになって、良くて炎上、最悪離散...てな話になっちゃうんじゃないかな?と。

僕らがディレクションフィーをもらって提供するべき価値は、本質として「そのサイト」とか「コード」とじかではなく、その先。成果物によって達成したい「成果」があってこそ。だと思うんですよ。

大抵は目的に対する課題を細かくブレイクダウンしないから問題になる

今更持ち出すまでもなく、リーン・スタートアップやその他もろもろの書籍、メディアなんかで取り上げられる「うまいこといったWebな人達の話」に共通してるのって

  • とにかく目的を徹底的に細かくブレイクダウンして
  • 本当に超小さい最小目的に対し「本当か?」を疑って
  • 仮説と検証を繰り返して上手いことやってきた

...ですよね?

ザッポスの「最初はペライチのHTMLに近所の靴屋で売ってる靴の写真載せて、"ネットで靴を買う人がいるのか?"から検証した」なんて話を持ち出すまでもなくそれが正解だし、Webという改変可能な媒体がツールとして選ばれた理由のはずなんですよ。

なのに、それを一種の常識として知っているはずの僕らディレクターが、なぜクライアントワークとなると唐突に「他社とは違う仕組みをもったすごく凝ったサイト」を作成しようとしてしまうんでしょう?

美麗なグラフィックと秀逸なインタラクションを組み込んだ「よく出来たサイト」を高い金額で売り込もうとしてしまうんでしょう?

僕らに期待される『品質』とは、美しいコードでもステキなデザインでも、よく動くインタラクションでもなく、ただひとつ「Webで何かやった時の効果最大化」だと言うのに。

もちろん、上述の内容を達成することがいかに難しく、いかに困難なことか?てのはわかります。わかるんですが、だからこそディレクターってのが必要で、だからこそ高いディレクションフィーが許容されるんだと僕は思っています。

そんなインタラクションにしたら余計に予算がかかってしまいます

そんなデザインは仕様に無いんで受け付けられません

そんなコードにするなんてどこからも指示なかったじゃないですか

そんな愚痴をぶつけるよりも何よりも、まずその前段階の時点で『そもそもこれ、本来の目的達成のためにいるんだっけ?』を検討し、いらない理由と代替提案でもって話をまとめる。

もっと極論で言えば、そうしてブレイクダウンした目的の達成のために、現状の予算や時間が足りないのであれば「予算を増やす」とか「時間を伸ばす」なんて手段すら提唱してプロジェクト全体のゴールに向けて推進する。

そのためにこそ僕らディレクターって求められてるんだと思うし、それ以外の部分で大して価値なんて出せないとすら思うんですよ。

ただの御用聞き、ただの要望まとめやく、ただのスケジューラー、ただのデザインチェッカー...に、払うにしてはディレクションフィーって高すぎると思うんですよ。自分で事業やってみりゃ分かりますって。

重要なのは結局コミュニケーションの組み立て方だから

ディレクションの業務としてザックリ想定されるのって、現状だと多分以下みたいな感じ

  • ヒアリング~成果物のコンセプト設計
  • 情報設計・画面設計
  • チームビルド・制作進行管理
  • 運用・解析・グロースプラン策定

何を目的として作成するのかヒアリングし、プロジェクトの立ち戻るべきコンセプトを明確にし、何をどう準備し、どこにどう載せるのか?情報を設計し、画面に落とし込み、それを効率よく作り上げるチームを作って実装。リリースしたら検証結果を受けての改善を行い続ける体制を構築する。

結局、ここまで書いてきたような「求めるべき品質ってなんだっけ状態」に多くのプロジェクトが陥ってしまう原因って、これをちゃんとやってこなかったから...。という一点につきると思っています。

  • これ何のためにやるんだっけ?
  • 何の数字がどれくらいどうなったら良いんだっけ?
  • としたらそれを検証するのに必要な最低ラインてどこだっけ?

これをクライアントや依頼主と一緒に、大きなチームとして共に検討するためのコミュニケーション設計にこそ、ディレクターはパワーを使うべきなんじゃないかな?と思うんです。

それは言葉にすると「しゃべり方」とか「考え方」、あるいは「ファシリテーション」や「プレゼンスキル」なんて呼ばれる『大事なのはなんとなくわかるけどどうやったら身につくのかイマイチよくわからない"コミュニケーション・スキル"』と呼ばれるものなのかも知れません。

で、そんなイマイチ身につけにくいスキルだからこそ身につけている人が少なく、身につけて多くの人を巻き込みながら上手いことプロジェクトを推進できるディレクターという人達に今注目が集まっている...んじゃないかなーと。

ディレクションのコアなスキルを伝えるために

僕が上記のような話を講演などですると、よく「それは中村さんだからできるんですって」とか「それはキャラが強いから」とか、あるいは「理想はわかるんですが結局今の環境では...」なんていうよく言われます。

ので、「じゃあやり方と考え方、そのトレーニング方法まで全部書いたからやってみてね」という感じの本を作ってみました。

日本ディレクション協会 会長 中村 健太 株式会社デスクトップワークス 代表取締役 田口 真行 デジタルマーケティングオフィス DCHS 代表 高瀬 康次

Amazon.co.jpで詳細を見る

文字通り、Webディレクターの教科書(≒Webディレクターズマニュアル)となるよう、色々書いたつもりです。

理想を語って終わりにしない

数年しか使えないTIPSで終わりにしない

そんなコンセプトのもと、今の僕に伝えられる(ほぼ)全部をここに置いてきたつもりです。

で、本の中身について語ってしまう出版記念イベント(当日直販やプレゼントあり)なんかも開催予定ですので、ぜひぜひ会いに来てやってください。

というわけで広告と特設セミナーのご案内

上記でさんざっぱら宣伝した書籍の中身むき出しイベントです。なんと破格の500円らしいので、ナカムラに直接会ってやろうという奇特な方、お待ちしております。

トップディレクターに学べ!超実践的スキル&キャリアの磨き方

「第一線のプロがホンネで教える 超実践的 Webディレクターの教科書」の著者陣による、
Webディレクターのためのスキル&キャリアアップの超実践的メソッドが学べるセミナーイベントです。

日時10月11日(日) 14:00~18:00(開場:13:30~)
料金500円(セミナー+ミートアップ)
会場FUKURASIA品川(高輪口)東京都港区高輪3-25-33 長田ビル6階
主催日本ディレクション協会

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