
先日「アクセス解析しました!」と言ってPVとVisit、アクセス元検索ワード上位25件のアナリティクス画面印刷データ"だけ"を渡されて、思わず切れそうになったナカムラですこんにちは。
今回はそういう意味不明なことをして恥をかかないようになるためのアクセス解析(主にGoogleアナリティクス)の基本について書きたいと思います。また、割とディレクター歴の浅い人向けの内容になる予定ですので、アクセス解析バリバリ!な方には少々物足りない内容になるかと思います。
なんでアクセス解析なんて面倒なことをするんだろう?
それは、ざっくり言い切ってしまえば、以下のような事を考えるため。もしくは考えるための指標を探すためです。
・サイトの「良くないところ」を探して、改善する理由を見つけ出すため。
・ユーザーが本当は何をしたいのか?を把握して「次このサイトでなんかやるとしたら
何しよう?」を考えるため。
・ユーザーが「こっちの思惑通り動いてるか?」を計測して、その通りになっていれば
その強化を。なってなければ「じゃあ何でだろう?」という仮説を立てる。
すごく平たく言ってしまうと、「このサイトって○○じゃね?(仮説)△△△したほうが良くない?(提唱)」と、一言で言えるようにするための理由を探しに行く事。それがアクセス解析だと僕は思っています。
基本的なボーダーを把握しておく
さて、それじゃあ改めてアクセス解析です。が、ただ漫然と数字データを見つめていても何もわかりません。なので、すごくおおざっぱですが「ここは越えておかなきゃマズイでしょ?」というボーダーラインを確認しておきます。
抑えておくとわかりやすい基本的なボーダー
直帰率はサイト全体で40%が平均点。
これより高いとなんか色々おかしい可能性が高いです。メインの流入経路とサイトの内容がマッチしているか考え直しましょう。
コンバージョン率は1~3%が立ち上げ時の当面の目標値。
サイトにもよりますが、最低1%行って無いと何かしら問題を抱えていると言えます。主にフォームですねこの場合。
1VisitあたりのPVは平均3~5Pくらいは行ってないと。
これより下回っていた場合、サイト内の導線設計がよろしくない可能性があります。かなり場合によりますが。
あくまで基本的なラインなので、もちろんサイトの特色によって異なりますが、ひとまずの目安ですね。このボーダーを頭に入れた上でサイトを見ていくと、比較的早くサイトの問題点を見つけることができたりします。
ユーザーのメイン導線と理想の導線を明らかにしておく
現状のサイトにおいて、最も多くのユーザーが辿る経路(サイトに入ってきてから出ていくまでの導線)はどうなっていて、また「本当に辿って欲しい導線」はどうあるべきなのか?これを明確にします。
Googleアナリティクスだったら、「キーワード」とか「参照サイト」、それに「ユーザーフロー」というところを見てやればだいたいで分かるので、そこを見ながら以下の項目を確認していきます。
どこからやってくるのか?
検索キーワードやPPC、ソーシャルや参照元など、最も多いものを把握しておく。
何をしているのか?
サイトにたどり着いたユーザーはどこをどう通って、どのページを見ているのか。あるいは見ていないのか?を確認
で、どうなったのか?
最終的にどこのページから離脱してるのか?または申し込みなどをしているのか?を把握します。
実際に解析データを見て、数値から問題を明確にし、仮説を立てる
上記の前提をきっちり把握した上でアクセス解析の管理画面を開いてみると、大まかにではありますがそのサイトの問題点が見えてきます。なので、次は見えてきた問題点に対する仮説を立てていく作業に移ります。
例えば、
・アクセスもPVもそこそこあるのにCVR(コンバージョン率)が1%に満たないくらいしかない
・直帰率は30%を下回っていてまあまあ良好
・1Visitあたりの平均PVも4P程度あり大丈夫そう。
・メイン導線はキーワード検索→トップページ→一覧→トップページ→離脱だった
・CVRもさることながら、フォームに来てる人自体がすごく少なかった。
といった計測結果が出た場合、以下のような仮説がとりあえず組み立てられます。
【仮説1】これって一覧ページの魅力が無いんじゃないか?
【仮説2】詳細ページに行きたくなるキャッチが書けてないんじゃないか?
【仮説3】フォームへの誘導がわかりにくいのでは?
【仮説4】フォーム入力が面倒すぎるんじゃないか?
などなど。
仮説に対して対策を考え、「何からやるか?」を決める
上記のような仮説に基づいて、じゃあ「まず何から手を入れるべきだろう」を考えていきます。
いきなり「サイトをなんとかしよう」としてもダメだし、
いきなり「アクセス解析をしよう」でもダメ。
まず「このサイトは何かダメだ」という前提で、今一度基本からアクセス解析をやってみて、それに対する仮説をたててみる。立てた仮説について対策を考え、どの対策からやるべきかを計画していくんです。
データだけの羅列をだーっと印刷して見せるだけならそれこそ小学生だってできます。大事なのはそのデータから「○○なんじゃないか?」という仮説を立てて、それを改善するために具体的な対策を考え、さらにその対策を作業レベルに落とし込んで優先度を決め、そして「実行し続けること」。
はっきり言って面倒です。
地味です。
地道でしんどいです。
でも、地道であるがゆえに、確実に成果を上げていきます。
そしてそれこそが、正しいアクセス解析のやりかただと思います。
サイトの改善以外にもあるアクセス解析の利点について
さて、じゃあつまりアクセス解析は面倒で大変で地味な仕事なんです!だけ・・・でしょうか?
実は、ことディレクターに関していうと必ずしも「それだけ」ではありません。
クライアントや上司の方々からやたらと信頼されるようになるんです。
誰だって「こっちのほうが格好いいからこうしました!」て言われるより、「データに基づいてユーザーの心理を分析した結果、ここはコレです」て言われた方が安心するに決まってますよね。
つまり、サイトに関して多くの提案を方々に持ちかける機会の多いディレクターにとって、非常にありがたい「根拠」を持つことになるんです。
それはデザイン提案に対する根拠であったり
ワイヤーの設計に関する根拠であったり
あるいやリニューアルなどの歳の提案そのものの根拠であったり。
実際運用をしてみると、アクセス解析の基本が出来ている場合と出来ていない場合とだと、売り上げやCVRに大きな差が出てきます。
まだアクセス解析に苦手意識を持っているディレクターさんやサイト担当社さん、あるいは個人でやってるデザイナーさんなんかにも、ぜひ試してみていただけたらな。と思っています。