クライアントは客じゃない メンバーだ!僕が憧れたWebディレクター 田口真行の話

ども。ナカムラです。

なんか連載記事っぽいタイトルですが、続くかどうかは分かりません。分かりませんが、今回はタイトルの通り僕の憧れたディレクター。デスクトップワークス田口さんについてのお話です。

ディレ協での講演スクーでの登壇、企業研修など多方面で表に出まくる人なので知ってる方も多いと思いますが、今回は直接訪問してみての半取材記事みたいなノリでいってみます。

現在の考え方のルーツになった『思考するWebディレクション』

キャリア5~6年くらいのディレクターさんなら聞いたことある人もいるかも知れません。

2009年ごろから1年程度MdN DESIGN INTERACTIVEで連載されていたWebディレクションの本質に迫る連載シリーズ『思考するWebディレクション』

よくあるTIPS偏重型のメディア記事ではなく、「ディレクションとは本来こうあるべきだ!」という本質的な部分に切り込んでいるシリーズで、今読んでも「よくこの時代にこの内容を書けたなー」という素晴らしい記事が思いっきり無料で公開されています。

言っても当時はまだ「Webディレクション」という言葉自体が一般的ではなく、デザイナーと営業...みたいな組み合わせが多かった時代。

ちょうどそのころディレクターなりたてで デザイナーにボッコボコにやられていたナカムラに「プロジェクトを成功に導く役割を持った人がいかに重要か?」を思いっきり叩っこんでくれたのがこのシリーズだったりします。

もしまだ読んだことが無い方はぜひぜひ。

受託という誤った思考と関係性を捨てるために

で、こっから本題。

「プレゼンはセールストークじゃない。コミュニケーションだ。」

もしかしたら本人にはそこまで強い意識は無いのかもしれないけど、今回僕が田口さんと直接話してみて一番衝撃を受けたのが上の言葉だったりします。(他にも色々話したけどそれはまたの機会に)

一般的に考えられるプレゼンの意図っていうと、まぁ「クライアント(聞き手)に提案内容を飲んで何がしか行動を起こしてもらうため」ってのがパッと出てくるんですが、どちらかというと「セールストーク」的な意味合い強めに認識してる人が多いと思うんですよ。

うん。もちろん僕自身もそんな感じで捉えてました。

が、田口さんの場合、上述の通りこの部分の認識が全く違う。

ざっとまとめると以下のような感じです。

  • そもそも受託じゃない
  • 依頼者と受託者の関係性では依頼者が蚊帳の外になる
  • 「一緒につくり上げる」ためにこそプレゼンスキルが必要

とまぁ、こんな風にプレゼンそのものの意義を置いているらしいんです。

プレゼンをセールスツールとしない理由

例えばプレゼンをセールスツールとして捉えて、「これやってくれ!」⇒「あいよ!」の関係を作るための『対競合向け椅子取りゲーム必勝法』みたいな感じで使ってしまうと、どうしても"受託"のアタマになってしまう。

結果...

  • 依頼者の仕事=依頼すること(何かやらせること)
  • 作り手の仕事=言われたものを作ること

と、なんか殺伐とした感じにどうしてもなってしまい...

依頼者「やっぱ○○にして」
 ⇒ 作り手「なんで今更...オイオイふざけんなよ...」

てな感じに心理的対立構図(表には出ないけどお互いいがみ合っている状態)になりやすいんだとか。

うん。なんかもう耳が痛くて耳取りたい。

で、そこを上手くやるために田口さんが考えまくって辿り着いたのが「プレゼンの "質を変える" ことで "一緒に考える場所" にしてしまえばいい」だったらしいです。

やたら上手いプレゼンに隠された「巻き込み」の仕掛け

知ってる人は知ってるかもですが、田口さんてとにかくムチャクチャにプレゼンが上手いです。それこそプロの芸人さん並に。

なんですが、よくよく見てみると決して話が上手いとかドラマチックな演出が得意とかそういうんではなく、「聞き手を "巻き込む" のが上手い」んですね。

これも、つまり田口さんがプレゼンを「一方的な意見を飲み込ませるための手法」ではなく、「一緒に何かをやるためのファシリテーション」と捉えているからなんだろーなーと。

一対多数の演説ではなく、多人数のブレストやワークショップに近いものを作り上げていたんですね。

いやはや、なるほどなるほど...。

TIPSよりも思考を!チームビルドへのこだわり

僕らがいつも通りにプロジェクトを動かそうとした時、当たり前のようにやっているのは以下のようなフロー。

  • とりあえずまずが概要聞いて
  • やることの要件を固めて
  • 提案資料と見積作って
  • 提案飲んでもらったら仕様にして
  • メンバーアサインして
  • さて作ろうかねっと制作スタート
  • おいやめろ後から。そんな仕様は聞いてない

うん。まぁ大体こんなかんじだよね;;

で、規模や場合にもよると思いますが、1~2の所ってのはまぁ多くて会議数回。メールや電話でやりとりしつつ、本ちゃんの提案の時にプレゼン1回~数回ってのが多いんじゃないかと。

が、田口さんが実際のクライアントとプロジェクトを動かす場合、「1年近くブレストとプレゼンを繰り返す」なんてこともあるんだとか。

いやいやさすがにそれは嘘でしょう...?!

とも思ったんですが、確かに大きめなプロジェクトの場合『社内での企画検討段階まで入れれば』それくらいいっちゃうことも少なくないはず。

本気で依頼者と一緒に「何やろうっか?」の段階から考え、入り込み、巻き込み、いつの間にか「一緒に作っている」という感覚を作り出すことに全力を尽くしているって事なんでしょうか。いや凄まじい。。。

この辺、実は『思考するWebディレクション』を読み返すと、当時から "ずーっとスタンスが変わってない" んですよね。本当パねぇっす。

僕らは手間をかける場所を考え直すべきなのかもしれない

通常、ディレクションとは「プロジェクトを成功させるためになんやかややること」みたいに捉えられるのが一般的。

なんですが、いつの間にか「より利益を」「より失敗なく終わらせよう」「そのためにもより業務の効率化を...」とばかり考えていたのかもしれないな...と。

いや、それ自体が全部悪いことでは無いと思います。

利益無くして事業の維持は不可能ですし、失敗を減らさなければプロジェクトが停滞してしまう。そのために効率化をはかることは間違いではないんです。

でも、何より大切なのは

"金を払う方" と "金をもらう方" という「誤った上下の関係」をやめること。

そのために、本当の意味で依頼者と対等のチームを作ることにこそディレクターは考え、時間を割かないといけないのかもしれません。

一朝一夕でマネをすることは難しいかもですが、ちょっとずつ、その域に達せるよう頑張らなきゃなーなんて感じたのでした。

田口さん。今もなお憧れのディレクターでいてくれて、本当にありがとうございます。

田口流ディレクション論とプレゼンに触れられる企業セミナー紹介

Webディレクタースクール for 企業研修

で、そんな田口さんのディレクション論を超ハイクオリティ・プレゼンで直接聞いて学べる企業セミナーが開催中らしいです。

公開講演会では聴けないようなスゴワザメソッドも多く、制作会社・事業会社問わず使えるメソッド盛りだくさんらしいので、興味有る方はぜひ問い合わせてみてくださいな。

田口さんのディレクタースクールを企業研修でやってみたくなったら